早くも春学期末になり、期末試験の季節が近づいてきて、学生からは「どんな試験ですか?」との質問も出てきます。学生から「選択式ですか?穴埋め式ですか?」と二択で聞かれた時は「大学では論述式しかありえない!」と答えました。しかし、物心ついた頃には既にスマホもマークシート式も当たり前になった若者には、こちらが非常識に見えるのかもしれません。そうした学生達が、論述式の本番試験であるエントリーシートに苦労するのも当然です。
私の受け持つ春学期の3年生以上対象のキャリア教育では、レポートの書き方(アカデミックライティング)も重点的に行っています。最近はこの時期にインターシップの選考ためのエントリーシートも求められますので、そうした題材を使って、レポートや期末試験の答案の書き方を教えると、学生の目の色が変わって勉強します。
私の授業で学生に求めているレポートの書き方は以下です。レポートや論文のお作法は、学問によって異なりますが、これは1000字以下の短めのレポートの場合で、企業の採用選考でも役立ちます。
▼レポート評価の鉄則ポイント
1.締切厳守 ⇒提出日時(あえて提出時間を設定しない)
⇒相手の勤務時間(一般常識)を考えているかを見ています。
2.構造厳守 ⇒序論・本論・結論、PREP(結論・理由・事例・結論)
⇒何も考えずにSNSのように時系列で垂れ流すとアウトです。
3.文体厳守 ⇒書き言葉(話し言葉NG)
⇒学生が最も苦手とすることでしょう。口語体で無駄ばかりです。
4.客観厳守 ⇒事実中心、自己体験のみはNG
⇒作文・感想文とレポート・論文の違いをわかっているかです。
5.引用厳守 ⇒参考文献、データ
⇒これがなければレポートではなく、個人の思い込みです。
6.形式厳守 ⇒氏名、連絡先、ファイル名等
⇒レポート本文以外の必須事項で、これも一般常識です。
7.結論厳守 ⇒短文(1000字以内)では冒頭に
⇒学生は結論を最後に持ってきがちです。
そして、最後に学生に伝えているのは「自分のレポートをクラス全員に自信をもって見せられますか?」です。恥ずかしいとか躊躇するなら、何かが欠けているはずです。
こうしてみると、企業のエントリーシートは大学授業で教えているアカデミックスキル(レポートライティング)の実践版ともいえ、アウトプット重視のキャリア教育をやってくれている、と考えることもできます。大学入試も採用選考も外部委託になるご時世ですから、期末試験はやめて、一部上場企業のインターンシップ選考に通過したら単位を認めるというのもアリかもしれませんね(いや、冗談です、ありえません)。