私立大学では期末試験のシーズンとなり、私も自分の授業科目の試験監督に出向きました。3年生以上が対象の科目なのですが、リクルートスーツスタイルの学生がチラホラ居ます。「今日は何かあるの?」と尋ねてみると、「企業のインターンシップです」「採用選考です」とのこと。秋の授業中も多かったのですが、大学の期末試験中だろうと企業は大学(学生)の都合など無関心なようですね。
そんな中で涼しげな顔をしている体育会の学生が居たので、「就活はどうしてる?」と聞いたところ、無事に内定を貰ったとのこと。部活と勉強の文武両道の学生だったので、就活もきっとスムーズにいったのだろうとは思いましたが、この学生は新卒人材紹介会社を利用したそうです。体育会でもプロを目指すレベルで活動していたので、ふつうは部活と勉強だけでとても就活などやっている時間はなかったはずです。このレベルの多くの体育会学生は自ら就活をしなくても(ついでに勉強をしなくても)、伝統ある部活のOB会が強力に面倒を見てくれます。
しかし、この学生は自分の進路は自分で決めたいと考え、就活も自ら行おうとしましたが、たまたま新卒人材紹介の会社に出会って、そちらの紹介でスムーズに決まったそうです。一般の学生がなかなか着目しないBtoBのメーカーで業績の良い企業です。こうした実例を見ていると、大学内の活動に夢中になっている体育会学生は新卒人材紹介と特に相性が良いと感じます。米国大リーグに挑戦するプロ野球選手は珍しくなくなってきましたが、皆さんエージェント(交渉代理人)のお世話になっていますしね。
改めて学生にとって新卒人材紹介の良い点を考えると以下の3点です。
・自分で動かなくて良い(多忙な学生は助かる)
・学生目線では分からない企業に触れられる
・志望動機や業界研究が深くなくても良い(紹介されているから逆に人事が説明してくれる)
このコラムでも5年ほど前に、新卒人材紹介業がタケノコのように芽を出して広がってきたと書きましたが、今では新卒人材紹介で検索すると、ヤマのように情報が出てきます。検索エンジンの広告も比較にならない程、増えてきました。最近の傾向は、特定の分野に特化した人材紹介業が増えてきていることです。勿論、体育会学生専門の企業もあります。こうした専門化が始まるということは、業界が黎明期から拡大期(成長期)に入ってきたということです。
企業側の方も、少子化の中で効率の良い採用を行うことを考えるならば、人材紹介業の成功報酬型のように、採用コストが明確にわかる手法はこれからもっと流行るでしょう。日本人はとかく自前でやることを重視しますが(私もメーカー出身なのでそれは好きですが)、採用担当者自身が人員や予算を削られるとアウトソーシングに向かわざるを得なくなると思います。
となると、大学キャリアセンターも「人材紹介業の使い方」という就職セミナーが求められてくるかもしれませんね。来年度の活動計画に入れてみては如何でしょう?