春学期の期末試験も終わりお盆休みを前に、教員は採点の追い込みとなり、職員の皆様はオープンキャンパス等でご多忙なことでしょう。私も先日、授業のレポート・筆記試験の採点を終えましたが、たまに課題にする「20代のキャリアプラン」を見ていると、最近は一定のパターンが見えてきました。これは企業採用担当者も今後、意識していかなければならないことだと思います。
近年、学生のキャリアプランで増加中なのは以下のパターンです。
・大企業に入社して3年間は頑張る。
・その後、外資系に転職して専門性を磨く。
・その後、留学or進学して社会活動(or結婚&出産)もする。
これらは、就活面接でよく問われる「10年後の貴方」という質問とほぼ同じです。流石に学生も採用選考の場では「転職」を「社内異動」と言い換える大人の対応をしています。
キャリア形成を企業に依存せず自分で作るのは欧米型の特長ですが、日本の学生の意識もメンバーシップ型からジョブ型に徐々に移行してきたのか、またはキャリア教育の成果かもしれません。
もっとも、学生の意識は実際の知見(実践体験)に基づかない耳学問が多いですから、そのまま良しとするのも問題です。マスコミがもてはやすスーパースターもレアケースが多いです。
さて、伝統型日本企業が考えなければならないのは、こうした若者を如何に活かして能力を発揮させ、利益に貢献し始めた頃に初期投資回収の視点になるのではなく、再投資でより大きな利益を相互がえられるような人事制度、リテンション施策でしょう。流行の表現をすればメンバーシップ型雇用2.0ですね。
このようなキャリアが認められてくると、大学新卒3年以内退職言説は、立派なキャリアプランとして評価が変わるかもしれません。過去の視点だけで現在の現象を見ているといずれ時代に遅れになるのは、昨今の官僚やスポーツ関係の不祥事を見ていても同じです。
ちなみに、この課題での私の主な評価ポイントは以下です。企業の採用選考基準にも似たようなものでしょう。内容の評価よりも、授業の基本や論理性が指導通りにできているかが重要です。即戦力は求めていませんが、大学での基本(即戦力性・汎用性)を求めています。
・授業での知見を発揮しているか?
・構造的に論じているか?
・具体的か?(夢ではなく目標にしているか?)
・明日から実行できるか?
同様な質問で「この夏休みの貴方のキャリアプラン」を課することもあります。プランは実行できなければ青い鳥と同じですが、まずは青い鳥でも描いてみると、自分自身の良い点や未熟さに気づけて、長い夏休みを少しは有意義に過ごせるのではないかと思います