3月も後半になり、学内での企業説明会も一段落してきました。私のお付き合いのある大学では今期の説明会には学生の集まりが良くないと聞きます。就職情報産業主催の企業合同説明会でも学生の出足はいま一つだと聞きます。一方で、既に皆さんの手元には学生の内々定連絡も入っていることでしょう。昨年の秋から続いていたインターンシップ経由の内々定が着実に成果を出してきているようです。
前回のコラムでお伝えしたように、私の教え子や就職相談に来ていた学生からは、3月初旬から内々定の連絡が続々届いています。そうした子達はほぼ例外なく秋のインターンシップに通った企業からの結果連絡です。いわゆる勝ち組の学生達は確実に囲い込まれて結果を手にしているようです。そのため、メディアで報じられている「動かない学生」は、本当に何もしていなかい学生と、既に結果を得ているので無理に手を広げず余裕をもって動いている学生が混在しています。
というわけで、19卒の就職活動は目に見えないところで分散化しており、解禁日から一気に動くというパターンにはならなかったのでしょう。これまで製造業は経団連指針に沿って比較的真面目に動いていましたが、この春は経団連加盟の大手企業からも内々定を得る学生で出てきました。先日、経団連会長が採用ルールの見直しを示唆したのも、さもありなんです。
さて、こうした動きの背景で、私の授業を履修登録していた学生が残念な事態になりました。先日、卒業要件不足で留年が決まってしまったとのこと。本人から泣きの連絡がありましたが、どうしようもありません。この学生は、秋頃からインターンシップや就職活動に走り回り、授業に途中から出てこなくなり、出席日数不足・期末試験放棄になったのです。何度かイエローカードを出していたのですが、最後は音信不通になり、履修未達になりました。
また同様に、企業インターンシップに出席して出席日数が不足していた学生がおりました。この学生は私の警告に対してすぐに反応し、補習活動(追加レポートや補講受講等)によってなんとか単位は出せましたが、内容は私も本人も不本意なものになりました。ちゃんと授業に来ていれば良い成績を取れたはずが、残念です。なんでも、この学生はインターシップの成績が良かったので、社長のハワイの別荘に優秀学生と一緒に招待されてプレゼンテーションをしてきたそうです。まったくバブル期の囲い込みの再来ですね。
現状、採用ルールがなし崩しになってきたいま、企業側にも授業期間中のインターンシップで成績不振になった場合には、大学中退でも採用する、入社時期の延長(卒業単位が出るまでは期間契約社員で採用する)等の責任はとって貰いたいものです。必要なら教員から「インターンシップ参加による単位未履修証明書」を出しても良いです。いま留年が決まって泣いている学生も少なくないと思いますが、入社直前の内定取消で欠員が発生するのは採用担当者にとっても大問題なのですから。
▼参考URL:
・大学ジャーナル「2021年度入社の採用活動、経団連会長が見直しを示唆」2018/03/12