6月の採用選考開始を前に、学生からのエントリーシート(ES)を見て欲しいという相談が相変わらず多いです。たまたま授業でレポート課題を出したのですが、私の場合、採点基準はES選考の視点と同じです。今回のレポートをみて、このままでは苦労する学生が多いだろうなあと思わされました。
採用担当者はよく「自分の頭で考える人が欲しい」と言います。社会では正解のない(または正解が無数にある)問題に取り組むわけですから、そうした状況に一人で判断して対応できる能力が求められます。
一方、用意された環境(正解が決まっている)でしか考えたことのない学生は、そうした問題にぶつかると戸惑ったり自分本位の考え方をしたりします。例えば以下の様なものです。
1.回答文字数を決める
レポートの文字数の指定が「1000字以内」とされた場合、皆さんなら何文字書きますか?私の授業で多かったのは850~950字位ですが、700字位のものも意外とありました。勿論、指定内なのでどちらも要件を満たしていますが、ここで学生に自分の頭で考えて欲しいと思います。レポートでもESでも出題者には「この位は書いて欲しいな」という気持ちがあります。それが指定されている文字数です。つまり、700字しか書かない学生は、100点満点の問題を自ら70点満点にしているのです。
これは、企業のセミナーで学生にアンケートを書いて貰う場合も同じです。アンケートには文字数の指定は殆どありませんが、指定された記入スペースがあります。採用担当者は同じく「この位は必要だろうな」と考えながらアンケート用紙を作っています。しかし、文字数指定がないとスペースの半分も書かないという学生が結構おり、勿体ないなあと思います。
2.提出日時を決める
先日のレポートはネット経由の受け取りで、提出日だけを指定し、あえて時間の指定はしませんでした。結果、約60%の学生が締切当日提出で、90%が18時までに提出してきました。幸いなことに、相手は18時過ぎには帰ってしまうだろうと考えてくれたようです。
但し、ここでもう一歩考えて欲しいのは、締切当日には一気に提出が集中するので「先生も大変だろうな」「締切ギリギリではじっくり見て貰えないかな」という点です。教員にとって、締切数日前に届いたものはゆっくりじっくり見て何か不備があれば再提出のアドバイスも可能です。しかし、当日に届くものは到着の確認だけで精一杯で、後でまとめて処理をします。
企業のESの場合は、レポートと違って再提出を促すようなサービスはありませんが、扱い方の余裕度については同じです。なので、ホンの1日でも早く出すことをオススメします。
というわけで「自分の頭で考える」というのは、自分の都合で文字通りに受け止めることではなく、相手の状況を察して行動するということです。こういう点で学生の差は付くのです。なかなか日本文化的な視点ですが、学生にはしっかり理解して欲しいと思います。