第346号:採用担当者に勧めたいアクティブラーニング

3月に入り、各大学での企業説明会が一斉に始まりました。大教室を満員にする人気企業もあれば、小さなブースなのに誰も寄りつかない企業もあったり、採用担当者も悲喜こもごもです。私も学生気分に戻っていくつかの企業説明を聴講してみましたが、採用担当者のプレゼンテーションスキルにはかなりの差があることがわかります。学生とコンタクトする時間は短いからしっかり心を掴むプレゼンをしなければなりませんが、採用担当者は他社のプレゼンを聴く機会はなかなかないので、自分のプレゼン能力に気づけない方も多いようです。

大学内企業説明会はいろいろなパターンがありますが、30分程度の短いプレゼンテーションを数回繰り返すパターンが多いです。採用担当者にとっては、学生に深く理解して貰うよりも後日自社内セミナーや選考会に引き込むための学生の情報を得る方が目的のようですから。こうした企業の採用担当者のプレゼンで上手くないと思うのは以下のようなパターンです。

・一方的に話し続けている。(スキル不足

大学の講義と同じで、一方的に話しを聴き続けるというのは非常に辛いことです。深い質疑応答までいかなくても良いので、会話の途中で相づちを求める簡単な問いかけをしたり、クイズのような簡単な質問を投げたりしてコミュニケーションを図る方が、学生とのコミュニケーションもとれて企業の印象が良くなります。大学授業で言えば、いま盛んに言われているアクティブラーニング型の進行ですね。

・自社に対する熱意を出せていない。(情熱不足

就職して営業希望だったけれど何故か採用担当者に配属されてしまった新人型社会人に多いパターンです。自分自身がまだ十分に会社のことを理解していないのと、「自分はこんな仕事をするはずじゃなかった。」というわだかまりをもっていることが多いです。また、生真面目な若手社員は「この会社よりもっと良い会社があるはずだ。」という気持ちも抱えていたりします。そうした採用担当者は「良かったら聞いて下さい。」と言います。あまり熱意を前面に出されても引いてしまいますが、自社に対する誇りや自信を感じない採用担当者が出てくると学生は敏感に感じ取ります。

・自社の情報だけしか話せない。(情報不足

質疑応答で学生から「御社の強みは?」「業界の方向性は?」などと自社の説明以上の幅広い質問を問われると、うまく答えられない採用担当者がいます。これは経験によるものなので、先輩社員がフォローすべき点なのですが。とりあえず母校に派遣されたリクルーター等は、焦ってしまいます。

採用プレゼンで怖いのは、学生は目の前の採用担当者がその企業のレベルと思い込みがちなことです。企業には多くの社員がいて、能力の高い人もそうでない人も居ますが、この時期のように多くの大学に社員を一斉に派遣しなければならない場合、必ずしもプレゼンの上手くない人もいるわけです。

逆に、学生の方が「採用担当者だけの話しを鵜呑みにしてはダメだな」「直接OB訪問して確かめてこよう」とか判断力を高めてカバーしてくれることを望みたいですが、あまりに多くの情報を目に前にするとどうしても第一印象だけで判断しがちですね。お互いが不幸なスレ違いにならないように祈りたいです。

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