何かと世間を賑わしている2020年の「大学入試改革」です。先月の報道では国語で導入される「記述式」試験について話題になりました。インターンシップ選考で処理選考の相談される日々なので、比較して考えてみましょう。
国大協の発表では思考力や表現力を測るため、新テストの国語の記述式問題は、解答文字数が80字以下の中難度と80字を超える高難度の2種類を出題するプランが出されました。その採点基準について選考の負担と基準について巷の議論が紛糾していますが、これは企業の処理選考の履歴書やエントリーシートの書き方と似ていると思いました。以下の通りです。
・80字以内の中難度(⇒履歴書レベル)
⇒何をやったかという事実のレベルで、体験程度の評価
⇒誰でもできること(常識・基礎力)
・80字以上の高難度(⇒エントリーシートレベル)
⇒文書の論理構成力の選考で、能力程度の評価
⇒他者とは違うこと(個性・応用力・論理表現)
学生は履歴書とエントリーシートとの使い分けを意外と知りません。両方とも口語体で似たようなものを書く人が多いです。私は、履歴書は「面接の会話のメモ」「質問して欲しい項目リスト」を考えています。80字以内の記述式試験のように、この文字数では「思考力」や「論理構成力」は読み取れません。故に、何をやったかを「事実」として簡潔に(数値と固有名詞を使って)表現しているかを見ます。その体験が、100人中何番になる希少性かという点です。エントリーシートでは、文字数がこちらで指定できるので(通常は300字程度にします)接続詞を使った論理構成力を評価しています。
こうした表現の使い分けができるかは、やはり国語教育にかかっていると思います。しかし、日本の小中高教育では生徒は論理的な文書の書き方を習いません。夏休みの思い出や読書感想文を「自由に表現しなさい」という指導です。以前から言語学の研究者からは指摘されていますが、これでは「思考力」も「表現力」も学生個人の能力や努力に委ねられてしまいます。このためには文書の形式(論理的な思考力と表現力)を指定した指導が必要です。(そうした文書力の無さを、日々、大学授業のレポートで痛感させられており、大学でしっかり教育せねばと思います。)
余談ですが、もうひとつ心配があります。それは学生の悪筆をちゃんと認識できるのだろうか?ということです。採点より下手くそな文字の「解読」の方に時間を取られるのが今の大学生の筆記試験です。これは最新のAIでも悩まされると思います。
▼参考URL:大学入試に「記述式」導入、全国一律では無回答が続出する(ダイヤモンド・オンライン)