残暑お見舞い申し上げます。立秋を過ぎて台風シーズンになりましたが、皆様の大学ではご無事でしょうか。この時期はオープンキャンパスで高校生も保護者も全国を移動されますのでご無事を祈ります。
さて夏休みに入り、春学期授業の期末試験を振り返っていますが、改めて答案の書けない学生はエントリーシート(ES)も書けないだろうなあ、と思わされます。逆に言うと良い答案が書ければESも上手に書けるはずです。例えば「分析せよ、論ぜよ」という試験問題の場合、良い答案は「文頭」に、ズレた答案は「文末」に特長があります。試験でよく見る具体例を示します。(教員としても、採用担当者としても、私の採点ポイントのひとつです。)
▼良い例(接続詞の使い方で論理がちゃんと構成されている)
⇒いわゆるPREP法(Point、Reason、Example、Point)
『~は△と△とで構成されており、~は××といえる。
何故なら、(というのは、)~だからである。
例を挙げると、(例えば)~ということがある。
もう一つ例を挙げてみると、~ということもある。
以上のことから、~である。そして、今後は~。』
事実を元に見解を展開するのが「分析」の基本です。これは就職活動で求められる「自己分析」でも同じです。実績に基づかない論じ方は、以下の通り説得力がありません。
▼ズレた例(根拠のない未来志向は説得力がない)
『~と考えたい。
~のスコアを上げたい。
~と心掛けたい。
~たら良いと思っている。
~に挑戦したい。』
志望動機のように未来への希望を問われているのならともかく、自己分析(自己PR)を求められているのに希望的観測を書かれても困ります。試験のヤマが外れても、問われていることに対して論理的に回答している答案は救いようがありますが、この基本ができていなければ不合格です。
ESは奇をてらった能力を見るのではなく、会ってみるのに十分な基本があるかどうかが大事です。名作小説にする必要はありません。基本がない個性だけでは変な人になります。 答案を方程式に例えれば、「公式=基本」「変数=個性」です。数百字の小論文・試験答案・ESはこれで十分対応できると思います。基本をしっかり身につけ、あとは変数(豊かな体験値=語るべき事実)を充実させることですね。そうした実績を積み重ねるためにも夏休みはあるのでしょう。