先日、とある大企業の小さな(10人弱の)企業説明会を見学する機会がありました。今年度は採用数がそれほど多くないのでネット等は使わずに、リクルーター等を使って狙った大学の学生だけを招待するターゲット・リクルーティングです。そのセミナーを後ろで聴いていて感じたのは、採用選考に通りそうなデキル学生は見ていてわかるということです。
採用選考とは関係のない企業セミナーと言っても、自然と目につく学生がいることは、私にも経験があります。それはレベル別に書くと以下の通りです。
1.メモを取っている。
2.リアクション(うなずき等)がある。
3.簡単な確認の質問をする。
(以下は質疑応答に入った時の場合です。)
4.深い理解を求める質問をする。
5.自分の意見を述べられる。
お察しの通り、カウンセリング・スキルを使ったアクティブリスニング(傾聴力)ですね。これらが身についている学生は好感がもてます。更に細かいところをそれぞれのレベルで見ると、以下の点があります。
1.持っているノートの形状・記述の仕方が良い。
ノートある程度の大きさ(タブレットくらい)で、覗き込んだわけではないので、内容はセミナー後に書かれた文書から判断しますが、一見して見やすくポイントを抑えています。
2.話者とアイコンタクトができる。
リアクションのタイミングが重要で、周りにつられて頷くのではありません。逆に、目立ちたがる人(自己顕示力)もわかります。
3.不明な点を自主的にすぐ質問できる。
セミナーの流れや話の切れ目を見て、適切なタイミングで不明点を確認する。わからないことをその場で聴ける勇気は、伸びる新人の共通点です。
4.聴講した内容に好奇心と疑問をもつ
時折、話者の想定外の深いとらえ方をする学生がいます。こうした点から個性や独創性を感じます。(但、脱線質問はNG)。
5.自分の仮説を即時に述べることができる。
聴講内容をその場で客観的・比較的に述べるには、自分に知見がなければできません。また、地頭と採用担当者は良く言いますが、論路的思考力の速さです。
如何でしょうか?セミナーの受講態度を注視しているだけで、相当な判断ができますね。勿論、これは外形的な判断なので実際の学生の実力が隠れていることはあります。しかし、企業の初期の採用選考ではこうした言動だけでも相当に仕事力は判断できると思います。社会では自分がどんな実力があっても、顕在的に発揮できなければ意味がありません。だから目で見てわかるというのは大事です。
翻ってみると、こうした受講スキルは大学授業でいくらでも評価・指導できると思うのです。講義をしている教員が授業中に観察評価をするのは困難ですが、同僚の教員やTAの学生にチェックして貰うとか方法は考えられます。こうした振る舞いは1日や2日でできるものではありません。日頃からの習慣になるように、1年生の新学期から身につけさせたいものですね。
ただ座って聴いているだけの講義は、相当教員が上手出ない限り、コミュ障を育成してしまいます。