年が明け、インターンシップを理由に3年生の授業欠席が増えてきています。それも一気に2人、3人と抜けるようになってきたのでワークショップ形式の授業は成立しませんし、ちゃんと出てきている学生の足を引っ張っる支障が出てきています。嘆いてももはやどうにもなりませんが、秋学期の仕上げの時期に呼び出すなら、企業の方がには学生を甘やかさずに、しっかりビジネスマインドを教えて欲しいものです。
企業の採用活動はれっきとした営利活動であって、若者のための慈善事業ではありません。ところが、採用担当者にはこれが意外と盲点になっているのではないかと思います。学生は社会のことを知らなくて当然と考えられ、新入社員研修では、「働くこととは何か」というプログラムまで用意されています。それは、一面では世界に誇る日本文化なのかもしれませんが、あまりに学生をお客様(子供)扱いするのは見直されるべきではないかと思います。用意されすぎた現代社会の中で、学生の成熟化は遅れ、いつまでたっても夢を追いかける芸能人研修生になっているようです。
では企業が学生に教えて欲しいものとは何でしょうか?時間、法律、常識を守るというのは大学で行われているインターンシップ事前研修でも教えられるでしょうが、大学ではビジネスについてのセンスはなかなか教えられないと思います。その代表的なものをあげれば、「主体性」の考え方です。求める人材像としてどこの企業でもあげるものですが、それだけに盲点になりやすいのです。
例えば「報連相」というのはTVCMにもなり、今や多くの学生が知っている言葉になりましたが、この報告する際に大事なことは“主体的な”報告であることです。相手に尋ねられてから答えるというのは報告ではなく「回答」に過ぎません。報告とは本来、ビジネスの相手(上司・同僚)に対して言われなくても状況を伝えることです。そうすることによって組織は様々なビジネス機会をつかめたり、危機を逃れたりできるのです。
ところが大学のグループワークで学生が望む「自主的な研究」をさせてみると、グループの現状を自分から伝えに来る学生はまずいません。これは以前述べた卒論の研究でも同じで、学生から定期的に報告に来て始めて教員は指導できるのとも同じです。会議(グループ・ディスカッション)でも同様です。聞かれた時に答えるのではなく、言うべき事を言うべき時に自ら話すのが主体性です。
こうしたビジネスマインドをしっかり企業の方が教えてくれるなら、授業を欠席してインターンシップに参加する意義もあるでしょう。しかし、インターンシップに行った学生に聞いてみると、まったくこうしたことは言われなかったり、ただ社内見学して簡単な質疑応答や学生同士のグループ・ディスカッションで終わったり、というものもあります。
まあ、実際は企業の社会人でもこれができていない人や組織は多いものですが、せっかく授業を欠席して迎えた学生にはしっかり企業らしい教育をして欲しいものです。