第314号:「容姿端麗」の風評利益

就職活動で常に高い人気を誇るのがキャビンアテンダント(CA)ですね。航空業界はグローバル市場の乱気流に巻き込まれて業績も乱高下ですが、日本のCAだけは常に安定した高高度人気職種です。労働条件もますます厳しくなりながら、この業界は「風評利益」に恵まれています。

 

つい先日、私の女子学生から就職相談がありました。まだ1年生なのに早いなあ、と思いつつ話しを聴いてみることに。

学生「CAになりたいのですが不安なのです・・・」

私 「ほう、何が不安なの?」

学生「周りにCAを志願している人が多くて・・・」

私 「うん、人気職種だからね。」

学生「部活の先輩がCAに内定したのですが・・・」

私 「おお、それはいろいろ教えて貰えるね。」

学生「でも先輩はとても美人で勉強もできて・・・」

私 「まだ1年生だから頑張る時間はあるよね。」

学生「でも容姿はもう変わらないと思うので・・・」

私 「じゃあ、諦めるの?」

学生「子供の頃から夢なので諦められなくて・・・」

私 「じゃあ、頑張ろうよ。」

学生「でも、本当になれるのかどうか不安で・・・」

 

と、小一時間、自分探しの旅にお付き合いしましたが、相談後にだいぶスッキリした顔つきになったのは良かったです。(容姿はそうすぐに変わりませんが、顔つきは変わりますね。)

 

乙女心をかき立てる航空業界は罪深いなあと思いつつ、たまたま人事の方に聞いたら「いや、それはこちらも困っているのです。人気が先行してしまって・・・」との当惑したご様子。一般企業からすれば、相当な費用をかけて知名度向上をはかるのに羨ましいことですが。

 

ここまでは良くある話しですが、先日、大学内でもこうした『風評利益』が起きていることを発見して驚きました。大学は来期のゼミ選考の時期ですが、その中に美人ばかりのゼミがあるのです。学生達は「昔からあの先生は面食いだから」といいますが、先生は頑なに否定しているとのこと。ことの真実はさておき、そうした過去の実績のせいで学生間では「あのゼミに入れたら美形!」との風評が確立し、宣伝も何もしないのに毎年美形が集まり続けています。

 

これは最新のマーケティング4.0か!と思いつつ、一般企業で妙に美形社員を採用担当者に据えている企業が数社浮かびました。げに採用戦略とは罪深く悩ましいものです。

 

▼参考URL:「容姿端麗」は、CAになる必須条件なのか(東洋経済オンライン)

http://toyokeizai.net/articles/-/86875

第313号:キャリアコンサルタント法制化

就職課の皆さまも採用担当者もキャリアコンサルタントの資格をお持ちの方は多いでしょう。周知の通り、キャリアコンサルタントは平成28年4月に法制化(国家資格化)される予定です。たまたま厚生労働省の方がこの法制化について解説するセミナーがあるので受講してきました。

 

私がキャリアカウンセラーの資格の一つであるGCDFを取ったのは10年前になります。今でも資格更新は続けていますが、最近は大学キャリア教育の方に注力していますので、この法制化については注意していませんでした。そのため勉強に行ったのですが、正直、この法制化の意義がよくわからず、逆に新たな課題が見えてしまいました。

 

国家資格化によりキャリアコンサルタントの認知度やステイタスが上がるのは良いことだと思います。しかし、税理士や社会保険労務士とは異なり、キャリアコンサルタントでなければできない仕事というのが明確ではないと思います。衛生管理者のように一定規模の企業にはキャリアコンサルタントの配置が義務づけられるというなら別ですが、受講していたキャリアコンサルタントの方々の発言で多かったのも、資格はとったけど仕事がないというものでした。

 

私が大学教員になったのも10年前ですが、キャリアコンサルタントの方から「どうやって大学教員になったのですか?」「キャリア教育の仕事があれば紹介して下さい。」と問われることが増えてきました。私も任期付き教員・非常勤講師という不安定な雇用状況なので、そうした方々の気持ちは痛いほどわかります。大学キャリア教育もだいぶ普及してきましたが、良いキャリア教育のできる教育者は少ないし、内容の充実度もまだまだです。しかし、キャリアコンサルタント資格保持者はコンサルティングはできても、キャリア教育は実務経験がないと難しいです。

 

こうした状況の中で、就職課職員やキャリアコンサルタントを対象に法政大学でビデオ教材の研究会を始めたのもこうした方々に機会を作れたらと思ったからです。(ちなみに、国もキャリアコンサルタント向けのキャリア教育支援の講習会を実施しており、法政大学の事例も紹介されています。)

 

就職活動に悩む学生を支援するには、まずはキャリアコンサルタントが自分のキャリアに悩むというジレンマを解消しなければならないと思うのです。

 

▼参考URL:キャリアコンサルティング(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/shokugyounouryoku/career_formation/career_consulting/index.html

 

▼法政大学のキャリア教育事例(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000090424.pdf