就活後ろ倒しになった今、大学の教員と学生が取り組むべきは、戻ってきた時間を学生の成長のために有効に使うことですね。不安を煽る情報の洪水を乗り越えるために、学生にジャーナリズムの課題を考えさせる授業を行っておりますが、参考文献にあげた本の中に現代の大学の課題を感じさせる文言がありましたのでご紹介します。
参考文献:『 ジャーナリズムの限場から』大鹿泰明編著 講談社現代新書 2014年
http://www.amazon.co.jp/dp/4062882760/
『いまのジャーナリズムを覆っているのは、わかりやすいニュース解説を求める「池上彰化」ですよ。池上さんの功績は大いにあると思いますが、あまりにそればっかりだと読者のリテラシーが一向にあがってこない。それどころか今の読み手は、書き手に対して「もっとわかりやすく解説してくれ」とか「どうすればいいのか答えを教えて欲しい」と求めてばかりいるようになってしまう。かつての読み手はもっと向上心、向学心をもって書物に触れていたと思います。』(同書66P 高橋篤志氏言)
『読者が求めているものだけを提供するのは娯楽・エンターテインメントだ。読者が必ずしも望んでいないものでも、社会的に必要性があれば、提示するのが僕らジャーナリズムの役割だ』(同書67P)
この「ジャーナリズム」を「キャリア教育」に、「読み手」を「大学生」に、「書き手」を「教員」に置き換えたらそのまま大学の現状になります。情報の溢れた現代で、食べやすいものを与えられ続けたら誰でもこうなるでしょう。かといって急に以前のやり方に戻しては消化不良になりそうですから、どうやって離乳食になる知的飢餓を起こさせるかが教員の課題です。向学心を刺激する良書をしっかり読ませ(更に自分でしっかり探し出させ)、しっかり講義を聴かせ、しっかり考えさせ、しっかり発言させる授業をしなければなりません。ハードな経験は、一時は恨まれても良い知見となり思い出になると信じ切る信念も教員には必要です。
私の授業では、聴く・読む・考える・分析する・書く・話す、の基本的学習力を厳しく求めているのですが、昨年ある指導者の言葉から「授業は教員と学生のチームワークだ!この大学で一番良い授業を目指そう!」というのをスローガンにしてみました。教員だけが頑張っても効果は出しづらいですし、学生の努力だけに求めるのも非効率だからです。教員と学生が一致団結して刻苦勉励することによって、良い授業が生まれるという信念です。
幸いにこの信念に賛同する学生は多く、授業見学に来られた大企業人事担当者から「こんな授業風景は見たことがない」「是非、このクラスから学生を採用したい」という言葉を戴くようになりました。そして2年たった今月、大学から表彰されることになりました。まさにチームワークの勝利ですが、来年は企業の採用担当者もチームワークに入れてやろうと企んでおります。笑
末文になりますが、皆様、良いお年をお迎え下さいませ。
▼学生が選ぶベストティーチャー賞(法政大学)
http://www.hoseikyoiku.jp/images/topics/1418898106/1418898106_3.pdf