大学は夏休みに入り、キャンパスは静けさを取り戻しました・・・、というのは昭和の時代のお話しで、夏休み突入は、即オープンキャンパスのシーズン突入ですね。私も期末試験の採点をちょっと横に置いて、保護者向けのセミナー等に駆り出されています。猛暑の中をお集まりの親子連れの来訪者に向けて講演をしていると、採用担当者として企業セミナーをやっているデジャブ(既視感)におそわれます。自社のここを見て欲しいなあ、という点は、きっと大学でも同じなのだと思います。
私は大学側の人間としてはまだキャリアが浅いので、オープンキャンパスの本当の見所を理解しきっていませんが、企業採用担当者の目線で思うのは、ハードだけではなくソフトをしっかり見て欲しいということです。ハードとは校舎や設備やキャンパスの場所等で、ソフトとは授業内容や学生支援制度、そしてなにより現役の学生達です。企業で言うならば、現場の社員を見て欲しいということですね。
これを感じた理由は2つあります。1つめは、オープンキャンパスで熱心に活動する学生スタッフ(ボランティア)の姿を見たからです。猛暑の中、大学正門で「ようこそ、○○大学へ!」と大声を張り上げ、笑顔でパンフレットを配る様子はまるで体育会の夏合宿です。キャンパスツアーでは年配の保護者や年下の高校生を引き連れ、小旗を片手に大学の歴史を熱く語っています。
2つめの理由は、先日、学生スタッフの研修を引き受けたからです。オープンキャンパスや、多くの大学で導入されているピアサポート(在校生による学習指導・相談等)を志望する学生達に、チームビルディングの研修を行いました。新入生や高校生への対応や、チームリーダになる上級生に役立てればと、企業研修で良く使われるチームビルディングのプロセスを学生向けに簡単に説明してワークショップに落とし込んで実施しました。志願してくる学生達だけに、多くの者は積極的に取り組みますが、なかなか溶け込めない学生も居ます。
ふと、ここでまたデジャブにおそわれました。「ああ、これはリクルーター研修と同じじゃないか!」と。企業でもリクルーターを募集して対人スキルのトレーニングを行います。大学と違って、志願者だけでは人数不足になることが多いので、業務として現場社員を駆り出すこともあります。この場合、必ずしもやる気のあるメンバーだけにはなりません。しかし面白いもので、文句を言っている社員も訪問してきた大学生と向き合うと、中々良い話しや対応をしてくれます。
学生に授業で大学の理念や精神を一所懸命に説明しても居眠りをされるように、企業の社員に経営理念や創業者の精神を話してもなかなか響きません。そうした話しを無理に聞かせるよりは、学生や社員を信頼して現場に出せば、そこから自然に愛校心や愛社精神が生まれてくるものなんですね。
何処の大学でも企業でもこうした取り組みを行っていると思いますが、こうした学生や社員の育成と自慢の競い合いは素晴らしいことだと思います。今年も酷暑になりそうですが、知恵と汗を絞って頑張りましょう!