採用担当者がもっとも嫌うというか、面接の仕事で非常に辛いのは、同じことを何度も聴かされることです。同じ作業をひたすらに強制させられることは、チャップリンのモダンタイムズではありませんが、苦痛以外のなにものでもありません。しかし、採用担当者は面接に面白さを求めているわけでありません。学生の皆さんには自分の話が(大勢の学生の中で)どう聞こえるのか?を考えて欲しいと思います。これは経営戦略でのマーケティングにも通じる基本的な仕事力でもありますから。
話している内容が同じでも、表現方法が異なるだけで印象はガラッと変わりますし、評価も変わります。ちょっと実例でみてみましょう。
「~では誰にも負けません」
とは学生が本当に多用する表現です。これを採用担当者目線(ではなく耳線?)で聴いてみると、前向きに評価すればプライド・自意識の高さとして感じられますが、何度も何度も聴かされるとつい、「なんで誰にも負けないと言えるのか?証明できる事実はあるのか?」と受け止め、客観性の欠如というネガティブな評価になります。
「~には自信があります」
上記より少し控えめな表現ですが、前向きに評価すれば個性・自負を感じます。ネガティブには上記と同じく、「どれだけ凄いのか具体的に示してみろ!」となります。
では、これはどうでしょう?
「~の難しさを痛感しました」
こう話す学生は意外と少ないです。上記と違って、物事の捉え方の客観性(自己評価)や謙虚さを感じます。学生が社会に出る前に持っておいて欲しい感覚とは、根拠のない自信ではなく、事実をしっかり見据えて自分を客観的に評価出来る能力です。更に、そこからどんな対策や課題が見えたかがあれば、なお良いです。
以上、同じ経験をもつ学生が3通りの表現をした場合、それぞれに印象が変わります。勿論、アナウンサーや接客業の採用でない限り、こうした話し方の工夫だけでは最後まで通らず、やはり学生時代に何を具体的にやってきたのか、で決まります。イマドキの大学生が大好きな「自分らしさ」ですが、それは何なのかを、自分の視点ではなく相手の視点で考えて表現し、社会の門番たる採用担当者のゲートをくぐってほしいと思います。
最後に、上記は私の個人的な視点であり、採用担当者によって受け止め方は千差万別ですが、表現の違いで印象が変わる、だから相手目線になる、これはどの採用担当者でも同様に求める能力だと思います。また、上記表現はここで書いた時点で、もう大勢の方々に伝わっていますので、使うなら早い者勝ちです(笑)。