「ニュースなど見ていると、就職活動シーズンはもう終わりですね。就職浪人した方が良いかと親と相談し始めました。」今週、たまたま大学で耳にした学生と就職相談員の会話です。ああ、この学生も相談員も苦労しそうだな・・・。この時期はなかなか結果の出ない普通の学生にとって絶好の成長機会であり、ここでどう変われるかどうかが就活学生の人生を決めることになると思うのですが、意識や行動の切り替えはなかなか難しいようです。
この学生はハキハキとした対応をしており、一見、コミュニケーション力があるように見えますが、相手の気持ち・反応を見落とすタイプだと感じられました。自分自身の思い込みが強く、なかなか自分の失敗を認めずに環境のせいにすることが多いので、採用面接では注意して評価する必要のある応募者です。皆さんのご経験でも変に主張力のある学生より、素直に変わっていける学生の方が指導しやすいのではないでしょうか?
授業をしていても、最近はこうした学生が増えてきている気がします。その特長は以下の通りです。
1.情報に敏感であるが思い込みが激しい(耳年増満足型)
2.情報を鵜呑みにして根拠を調べない(コピー&ペースト型)
3.自己主張が強く発言力がある(一方向プレゼンテーション型)
4.自分の都合の良い環境を求めて移動する(ゲームリセット型)
5.なかなか行動変革(成長)ができない(発達障害型)
外部労働市場(転職市場)が発達した米国ではこうしたタイプは珍しくありませんし、寧ろ標準的なタイプかもしれません。いわゆるジョブホッパーではないかと中途採用面接でも慎重に判断します。こうした若者が日本にも増えてきたということは、グローバル化の影響なのかもしれません。最近、ビジネスの世界ではゲーム理論が流行っていますが、ゲームのように、ちょっとうまくいかなければリセットしてやりなおす感覚なのでしょうか。その価値観が変わらない限り、結果も変わらないでしょうし、安易な留年や転職は不利になるだけです。しかも今の就活シーズンの終わりは、トップレベル学生の終わりであって、ミドルレベル学生の本番はいよいよこれからです。
今週の授業で「採用担当者は敬語の間違いはあまり気にしないが、学生言葉は気にする。」と話しました。慣れない敬語の失敗は新しいチャレンジとして初々しく見えますが、学生言葉は場面毎で言動を切り替える能力不足と判断されがちだからです。それこそ仕事での即戦力性ともいえるでしょう。
最近、私が改めて認識を新たにしているのは、学生と教員とは襟を正した大人の会話ができなければならない、ということです。学生にフレンドリーに接するのは良いことですが、授業がすべてそのムードになってしまって友達みたいな先生だらけになってしまうのは困りものです。締めるべきところは締めて、大人の世界を感じさせなければならない、と思っています。