企業採用担当者のエントリーシート(ES)評価が忙しくなってきました。学生も大変ですが、採用担当者も大変です。中にはホテルに缶詰になって採点をしている方も居られます。ES評価に取り組む採用担当者のモチベーションは、会ってみたくなる学生のESを読むことに尽きます。しかしながら多くのESは、そうした採用担当者の気持ちを理解していないのでは、と思わされます。気持ちが読めない「KY」学生さんのESですね。
どんなESを書く学生なら会ってみたくなるのか?それはESの設問で定番の「学生生活で貴方が最も頑張ったことは何ですか?」という問いからも明らかです。つまり、難題を乗り越えて大きく成長した学生ですね。それも採用選考ですから、他者より抜きんでた能力や強味を期待しているわけです。ところが多くの学生がこんな書き方をしています。
「私は幼い頃から人見知りだったので、これではいけないと思い、あえて接客業のアルバイトに取り組みました・・・」
「私は人を引っ張っていくタイプではありませんが、周囲を俯瞰してから的確なアドバイスをするように心がけています・・・」
これを読んだ採用担当者は、どう思うでしょうか?会ってみたいと思うでしょうか?どうしてこのような自分の評価を下げる表現をするのか理解に苦しみます。自分の弱点が人並みなった、というものではなく、人一倍頑張って抜きんでた、という書き方をして欲しいものです。きっと書いた学生本人にとっては本当に頑張ったことなのでしょう。しかし採用選考は競争の場です。嘘はいけませんが、本当のことをまともに全部話すような人物は安心して採用できません。例えば営業の仕事では、顧客に対して自社の商品の欠点をすべて話すわけにはいかないように。(勿論、例外はありますが、それはベテランになってからの上級スキルです。)改めて学生さんに気付いて欲しいのは、就職活動というのは自分という商品の良さを一所懸命に売り込む場だということです。
確かに設問の「頑張ったこと」には、「弱点を書く必要はありません」とか、「強味を書いて下さい」とかは書いてありません。だからこそ、ここで読み手の気持ちを察しながら書く学生と、そうでない学生の差がつくのです。ESは面接に読んで貰うためのPRツールです。弱点は面接で突っ込まれてから話せば良いのです。勿論、ここでも本当のことを全部言うかどうかは考えるべきです。
もうひとつ気になる書き方があります。ESに具体的なことを書いていない学生が居るのです。本人に尋ねてみると「それは面接で会ってから詳しく話すつもりです。」とのこと。残念ながらそんな方には面接のチャンスが来るとは思えません。膨大なESを短時間で評価しなければならない採用担当者の気持ちを汲んで、出し惜しみせずに魅力的に書いて欲しいと思います。ES評価で不合格になったら元も子もありませんから。