10月に入り、いよいよ採用担当者も先の見通しが見えないままに2011年卒の学生に向けた広報活動に動き出しました。今期は昨年の今頃と違って、最初から厳しい環境を前提としてのシーズンの始まりですので、採用担当者の顔も例年より険しい感じです。こんな時期には当然、選考基準が高くなりますので、学生側もワンランク・アップして挑戦する心構えが必要です。
今年もかなり厳しいということは大学・学生側も承知しているようで、「求める人材像」とは何ですか?と例年以上に真剣に尋ねられます。しかし私見ながら、不況期にはこうした問いを尋ねることが間違っていると思います。というのは、この質問の心には「どう言えば内定するのですか?」という気持ちが隠れており、つまり大学受験と同じで正解を答えられれば必ず内定が出るものという誤解(というよりは今はすがりたい気持ち)があるのでしょう。
この件については、以前にもこのメルマガで書いたとおり、企業採用担当者が答える「求める人材像」と選考基準とは異なるものです。企業が先の見えない環境下で厳選採用するときに、あえて「求める人材」をいうならば、自分でそれを提案できる人材、(他者の意見を参考するのは良いですが)他者に頼らず自分で考えて行動できる人材です。つまり、「求める人材像」など求めない人材が求められるのです。「自分はこんな人材です。是非、御社にはオススメです!」と自分に自信をもって語れる人材が良いのです。(根拠のない自信だけでも困りますが。)
そうは言っても、当事者の学生や大学就職課の方ならば、やはりある程度の求める人材は知りたいところですね。その場合は、その企業のどんな仕事で、どんな部署で、と採用するポジションを絞って聴いて戴けると良いと思います。ただ漠然と「求める人材像は?」だけでは、採用担当者としては無難な最大公約数しか回答できませんが、部署等を限定して戴けるとかなり回答しやすくなり、採用選考基準にも近付いてきますし、そうした質問の仕方で志望の本気度も感じられます。
余談ですが、採用担当者に「求める人材像」をしつこく尋ねてくる人々が他にも居ります。それは、採用コンサルタントの方々です。「御社は求める人材像が明確ではない!」と説教されることもあるのですが、こちらとしては「ごもっとも。」とだけお応えして余りまともに取り合わないことがあります。確かに採用面接者のレベル合わせや、効率をあげるためには自社の求める人材像をある程度まで把握して共有しておく必要があります。しかし、中途採用ならともかく、仕事経験がない学生についてはそうした基準にしばられて採用担当者の人を見極める目が画一化しても困ります。
つまり、採用担当者も「求める人材像」を常に模索し続けているのです。決められた採用基準だけで選考できたらこんな楽なことはありません。その答えが見つかった!と思った途端、今春のように経営環境がガラッと変わったり、採用選考基準(採用数)がいきなり変わったり、とても悩みがつきない仕事なのです。
やはり、こうした時期は「戦略的な頭と、行動的な体と、楽観的な心」で向かいたいものですね。
大学職員も学生さんも採用担当者も。新しいシーズン、頑張って行きましょう!