西の方から梅雨が明けてきましたが、採用シーズンも切り替え時期になりました。いよいよ2010年卒の3年生を対象とした採用活動が始まります。とはいうものの、やや景気の見通しには暗い材料が増えてきていますので、企業の採用戦略も慎重になりがちです。自社を取り巻く経済状況と今年の採用活動の成果を睨みつつ、来期はどうするか?と思案している企業が多いことでしょう。
企業採用担当者に学生の傾向を聴いてみると今シーズンも「二極化している」という声をよく聴きます。すっかり耳にタコができてしまったので当たり前のように感じてしまいますが、改めて何故そのような現象になったのかをと理由を考えてみるとなかなか難しいです。というのは、学生の学力が低下と言われていてもそれは二極化するものではなく、全体の平均値が下がりつつ正規分布するのが自然だからです。今の時代の経営戦略のように、トップレベルのシェアが取れなければその市場から撤退するというような何らかの意図を持った選択行動があれば別ですが。
いくつかその不自然な理由を以下の通り想像してみました。
・就職活動が厳しいからと早期に諦めた学生が就職戦線から撤退している。
⇒多少その可能性はあったとしても応募者数自体はそう変わっていません。
・大学生の就職指導やキャリア教育の成果に差がある。
⇒それならば大学間格差が出てきそうですが、同じ大学内でも二極化していると聴きます。
・AO入試&推薦入試で入学した低学力の大学生が増えた。
⇒いまや4割の学生がAO&推薦入学だそうですが、最近始まったわけでもありません。
・利用している就職メディア情報に差がある。
⇒学生は単一の就職メディアを見ているわけではありません。
・採用担当者の選考基準が変わって中間層が消えた。
⇒売り手市場とはいえ「迷ったら落とす」企業が増えているかもしれません。
・家庭の経済事情が二極化して学力も二極化した。
⇒東大生の家庭は必ずしも高収入ではないと言われています。
以上、二極化の原因を、学生側、大学側、企業側、家庭側といろいろ考えてみましたが、どうもこれが一番怪しいと思えそうなものはありません。となると、全部が組み合わさった複合的な理由なのか、または二極化自体が幻想なのか、ということでしょう。(意外と採用担当者の気のせいなのかもしれませんが。)
いずれにしても、二極化の上位学生が奪い合いになる中、「中間の学生」は一体何処に居ったのか?というのが採用担当者にとっての大問題です。みなさんの大学では如何でしょう?本当に学生は二極化していますか?だとしたら、その原因は何でしょう?
これは大学と企業が一緒に考えなければならない問題かもしれません。