新年度になりました。桜の季節に新入生を迎えるというのはやはり良いものですね。自然が新たな若者の旅立ちを祝福しているようです。私も昨年から大学非常勤講師として暖かく迎えられ、試行錯誤しながらキャリア教育に取り組んで参りましたが、この時期に改めて新入生に望むのは、現実を受け入れる勇気です。それこそがキャリア教育の第一歩であり、4年間のキャンパスライフと就職活動が成功するかどうかのキーになるでしょう。
この1年間、学生と触れ合って驚いたことは、意外と多くの学生が「自分はこの大学に望んで入ったのではない」と思い続けていたことです。大学受験に失敗したという意識ですが、入学したばかりならともかく、高学年になっても現実を受け入れることができずにネガティブな気持ちでキャンパスライフを過ごしているというのは驚きでした。経緯はどうあれ、この現実をどう良くするかと考えないのは、自分の時間を入学時で止めてしまうことです。失敗だったら失敗と認め、さてどうするかと考え始めれば、止まった時間が動き出し、失敗は成功のタネに変えられます。
就職活動でもこれは大事な能力なのです。自己分析をするときに学生が陥りがちな失敗は自分の過去を「客観的に分析」してしまうことです。企業の採用担当者が知りたいのは、そういった事実そのものではなく、そういった事実を踏まえて学生がどれだけ成長してきたか、です。つまり、採用担当者が求める自己分析は「主観的な意思」なのです。「分析」という言葉が良くないのかもしれませんね。私は自己分析とは、自分の過去の事実を現在の時間で見つめ直してその意味を読み解くことであり、更にそれをどう活かしていくか創造することだと思っています。だから自己分析とはクリエイティブな活動なのです。
『時計の針は元には戻らない、だが自らの意志で進めることはできる。』とはあるアニメのセリフですが、昨年の1年間の低学年キャリア教育では、学生にこういったものの考え方を教え、学生の時計の針を動かし、更に早く進めるように指導してきました。時計の針を動かし、有意義なキャンパスライフに自ら変えていくことが、就職活動で「もっとも力を入れたこと」をより大きなものにすることになるのです。
私は、就職支援が学生へのサービスであるの対し、キャリア教育はあくまで教育でありスタンスは異なるものと考えています。サービスは学生のニーズに合わせて提供するものであるのに対し、教育は(信念に基づき)学生に強いるものである、ということです。このことは教育職員の方々には釈迦に説法ですが、大切なことは学生がそれをちゃんと理解しているかどうかです。自主性は放っておいても育ちませんし、リーダーシップも役割が来なければ身に付きません。
多くの新入生を迎えるこの時期、改めて学生に勇気を伝える勇気をもって今年も頑張りたいと思います。それが学生生活の総括である就職活動を成功に導くと信じています。