第104号:就職の構造変化が確定した1年の始まり

新年、明けましておめでとうございます。まだ正月明けのせいなのか、就職環境の急速な改善のせいなのか、就職活動中の最近の学生を見ているとノンビリ感が漂っている一方で企業側はドンドン厳しい状況になってきています。今年の就職活動を総括するには早過ぎるかもしれませんが、間違いなく多くの企業が採用活動に失敗することはもう明らかです。

 

といっても、正確には全ての企業が失敗するのではなく、成功する一部の企業と失敗する企業に分かれてくるということです。その成功と失敗の分かれ目は、これまでの採用手法を変革した企業とそうでない企業との違いです。少し前のメルマガで紹介した採用する前に育成する「養殖型採用」のような新しい手法をとらない限り、企業が新卒人材を確保するのは難しくなります。(正月からのTV-CMでは某金融企業が小・中・高校・大学への寄付講座を社会貢献と宣伝しておりますが、あれはどうみても商品説明会です。金融教育の前に行うべきことがありますね。)

 

学生は少子化で間違いなく減っておりますし、学力低下も著しくなっています。先日集計したProfessional Recruiters Clubの意識調査でも、採用担当者の意見の過半数を占めています。学生は減り、求人が急増しているわけですから、上記の通り、今シーズンは採用方法を変えない限り、採用活動に失敗する企業が出てくるということです。しかもこの構造的要因はしばらく変わりません。

 

しかし、大学に寄付講座を作って提供するのは大きなハードルがありますのでこういった手法が取れるのは一部の大企業に限られるでしょう。中小企業については、いわゆる第2新卒の方に重点を置き、退職率が高く採用数も多い業界からの転職規模者を、即戦力ではなくある程度の教育を施してから採用する方向に向かうと思われます。新卒採用の場合は、採用時期(入社時期)が限られますので、とても新卒不足分を翌年まで待つことはできないからです。

 

いずれにしても、求職側にとっては待ちに待った”やり直しのできる時代”を迎えつつあるわけです。フリーターとして正社員採用の機会を失った若者にはこういった機会を積極的に活かして欲しいです。企業にとってはしんどい1年の始まりですが、もうそのコスト増には十分耐えられるだけの内部留保を上げております。従業員の報酬にはまだ十分に還元されておりませんが、せめてこれからの社員への投資は積極的に行って欲しいものです。

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