国際情勢は某国の核実験によって一触即発の危険な状態に陥った・・・。現実世界もアクション映画のような昨今ですが、企業採用担当者は一足早く戦場に足を踏み入れております。10月に入り大学での業界研究セミナーが始まり、早くも学生とのコンタクトが始まって参りました。未だに4年生(修士2年生)の採用活動も終わっておりませんが、早くもターゲットは2008年卒業生へ・・・。
以前のメルマガで、就職戦線は下記の通りに展開すると書きました。
・「空中戦」・・・インターネット上での広告・学生登録
・「地上戦(郊外戦)」・・・大学近郊での企業合同説明会(就職情報企業主催)
・「地上戦(市街地戦)」・・・大学内での企業合同説明会(大学内組織主催)
以前はこの順番で行われてきたのですが、国立大学の独法化以降、大学内での就職ガイダンスやキャリア教育が大流行になり、空中戦と地上戦が同時発生しているようです。
今年になってますます顕著になってきた傾向は、情報の洪水化です。企業の採用予算が増えて例年以上に就職広告が増えてきておりますが、反対に学生は減少してきていますから、どうしても飽和状態になります。そのため、企業もターゲットを絞り、効率の良い早期の囲い込みを行おうとしますので、最近は「結果の二極化」から「情報の二極化(大学間情報格差)」が起きているようです。特に中小企業では最初から濃い小集団の形成に努めるようになるでしょう。
この傾向が進むと、企業は更に深いところから大学と関わろうとします。それは就職レベルでのアプローチではなく教育レベルのアプローチです。既にANA、キヤノンが特定の大学と連携して社会のニーズに適した学生の育成に取り組み始めました。この取り組みが成功すると、近い将来にはANA、キヤノンに入社したい学生が、その大学を志望するようになり、おそらく偏差値も上がることでしょう。その結果が、大学は優秀な人材を集めることができ、企業も戦争無しに学生と採用することができます。
採用する前に育成する「養殖型採用」の始まりですが、これこそが休戦協定なのかもしれません。
10月に入り、大手企業と就職情報サイトでの学生登録が本格的に始まりました。通勤電車内の中吊り広告にも登録用のアドレスを記入したURLを見かけます。大学から卒業生の在籍確認や連絡先の確認を戴くのもこの時期ですが、個人情報保護法の影響で思うとおり情報提供ができないのは大学も企業も同じです。こういった状況では大学が独自に卒業生リストを整備する必要がありますが、その第一歩はパーマネント・アドレスの提供でしょう。しかし、なかなかこれに対応していない大学が多いのは何故なのでしょう?
パーマネント・アドレスとは、大学が学生に与える電子メールアドレスを卒業も恒久的に使えるようにすることで、卒業生の囲い込みに熱心な米国の方では常識的に行われておりますが、日本の大学では対応しているところは少ないです。何故、これを行わないのは不思議なのですが、予算や管理工数の問題だとしたら、それは相当な誤解です。メールアドレスの運用に使われるコンピュータの性能や管理手数はどんどん低価格かつ高機能になってきております。インターネット上に多くある、無料のメールアドレスの容量をみればすぐにわかることでしょう。
パーマネント・アドレスがあれば、卒業生との直接のコンタクトもメーリングリスト(同報メール)だけで済み、通信連絡費のコスト・ダウンにもなるでしょう。確実に卒業生から返事があるかどうかは、メールの問題ではなく、学生個人と大学との精神的な交流の深さの問題ではありますが、連絡ルートが有ると無いとでは大きな違いです。
パーマネント・アドレスを更に発展させたものが、先日書きましたWeb2.0のmixiのように、卒業生のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトを作ることになりますが、それについても価格・技術の面で導入しやすくなりました。これを入学時からちゃんと作れば、4年になってからの就職先報告の回収率も上がることでしょう。
卒業生リストの整備は、就職課にとって緊急の課題であると思いますが、まずはパーマネント・アドレスの設定から始めることを強くオススメ致します。個人情報保護法を理由に多くの企業が卒業生リストを出さなくなるのは常態化してくると思いますが、大学の方でこれがちゃんと整備されているとしたら、今までとは逆に企業の方から卒業生を紹介して下さい、と相談がやってくると思いますよ。
(大学で無料人材紹介を初めても良いではないですか。大学の株は間違いなく上がります。)
少子化の影響でこれからは新卒だけではなく転職市場が主流になってくるとしたら、ますます卒業生とのパイプをもつことが重要ですね。
Just another Recruiting way