ようやく春らしい季節となってきましたが、花粉症に悩まされている方はご愁傷様です。この時期になると学生もだんだと面接にも慣れてきて、ぎこちない志望動機や自己PRもスムーズな「会話」になってきます。ウォーミングアップも済んで、いよいよ就職戦線キック・オフですね。既に結果の出ている企業もありますが、内定した学生のことを振り返ってみると、自分のキャリア・プランをしっかりもっている方が多いです。しかし、それは採用担当者の考えるキャリア・プランとは必ずしも一致しているとは限りません。
学生との模擬面接や個人面談(キャリアカウンセリング)を繰り返していると、有望な学生ほど就職活動で社会を知り始めて、目がキラキラしてきます。同時に「これまで自分の大学生活は何だったんだ?」「もっと早くこんなことを知っていたら学生生活も変わっていたのに。」と自分の無知に気づいてきます。そんな学生は志望動機や自己PRもどんどん良くなり、「この会社にはどういえば受かるか?」ではなく、「自分はこの会社にはこう主張していこう。」と主張の軸が定まってきます。そうなってくると迷いや悩みが減って自信が出てくるので、結果的に面接でも良い結果がついてくるようになります。迷いながらも、自分はこんな風に生きていこうという信念(キャリア・プラン)が生まれてくるのですね。
さて、採用担当者はそんな学生が主張するキャリア・プランをそのままに受け止めるかどうかはまた別の問題です。メディアでは「自分のキャリア・プランをしっかりもっている学生が求められている」、というように書かれていることもありますが、正確に言うと「採用担当者が応募者のもっているキャリア・プランを聞いて、その応募者のキャリア・プランをイメージできたら内定を出す」ということではないかと思います。つまりポイントは、学生がしっかりとしたキャリア・プランをもっているかどうかではなく、採用担当者が応募者のキャリア・プランを描けたかどうか、ということです。
上述の通り、学生の描くキャリア・プランは限られた経験や耳学問によるもので必ずしも現実的ではなかったりしますし、採用担当者が企業の内部からの視点でその学生をみた時に、異なるキャリア・プランを描くことも多いです。学生のプランを軽視しているということではなく、「そんなキャリア・プランを志望するならこんなキャリアも歩んでくれるだろうな。」という想像を働かせているということですね。企業内部には、とても学生に説明しきれない仕事情報(キャリア・プラン)があるのです。
最近、大手電機メーカーの中途採用で細かい職種別募集は止めて大まかなくくりで募集し、やってきた中途応募者と採用担当者がキャリアカウンセリング風に話し合いながら具体的志望職を決めていくという方法をとるケースが出てきました。新卒採用の場合、採用担当者が描いたキャリア・プランを選考中の段階で学生自身にフィード・バックすることはあまりありませんが、お互いがそんなプランを描けたら採用担当者は安心して内定を出すことができますね。