最近、多くの企業の採用選考に取り入れられている選考方式のひとつにグループ・ディスカッションがあります。あるテーマについて決められた時間で応募者が議論を行い、ひとつの結論を出すというのが一般的ですが、応募者の議論を聞いていると、本来大学生の特権(?)とも言える、「こじつけ」と「一夜漬け」のできない学生が増えているのではないかと感じてしまいます。
グループ・ディスカッションのテーマにはいろいろなものが設定されますが、参加者に不公平にならないようなテーマが選ばれていることが多いです。というのもグループ・ディスカッションで評価するものは知識の有無ではなく、コミュニケーション力、問題解決力等、個人の行動特性や知恵に関わる部分なのですから。ところが、グループ・ディスカッションのテーマを見て、自分の未経験の分野であった時、すぐに諦めてしまう学生がおります。例えば「大学生協の新たなサービスを学生の視点で提案してみて下さい。」というテーマが出た時、「私の大学には生協がありませんので、わかりません。」と言ったまま、議論に消極的になってしまうような学生のケースです。確かに大学生協の有る学生と比べたら、知識では不足しておりますが、それがそのまま提案できないことには繋がらないでしょう。
こんな時に学生の方に思い出して欲しいのは、大学の試験でヤマが外れた時のことです。そんな時にもすぐに諦めないで、何とか自分の勉強してきたことを総動員して題意に導くような「こじつけ」にチャレンジしてみて欲しいのです。「こじつける」ということは、Aという概念とBという概念の関係を何らかの形で理由づけるということです。それは自分の志望する会社と自分自身との関係を考えるというのと同じ作業であり、つまりそれは志望動機を考えるということに他なりません。
グループ・ディスカッションにおいても、このような姿勢でどんなテーマであってもチャレンジして欲しいと思います。特にグループ・ディスカッションは一人で行っているのではなく、何人かの仲間と知恵を共有しあって発想をより大きく広げるチャンスがあるはずです。
「こじつけ」も「一夜漬け」も準備不足からくるものなので、使わないにこしたことはありませんが、社会で仕事をして行くとき、完全に準備された環境で進められるということは、よほどルーチン化された単純作業です。多くの仕事は未知の部分を抱えながら進めていくものです。グループ・ディスカッションも同様に、まずはどんな時でもチャレンジする前向きな姿勢を見せて欲しいものですね。