なかなか応募者の側から分からないものが、採用面接者の評価ポイントです。自己分析も企業研究もしっかり行い、志望動機もまとめて面接に臨んだのに、期待通りの結果が出ないと応募者の方は納得がいかないことでしょう。そんな時にまず気をつけたいことは、「生きた回答」をしているかどうかという点です。
就職活動も選考シーズンに入り、学生さんもそろそろ面接に慣れてくる頃ですが、準備万端で何度か面接を受けても、思わしくなく、面接者の評価に悩む学生さんがおります。先日、大手企業の採用担当者の協力を得て、ある学生コミュニティで模擬面接を実施した際にもその現象が現れていました。
応募者役の学生さんは緊張しながらも、「私の志望動機は、一つには・・・、二つ目には、そして三つ目には・・・です。」との流暢な話し方で、その後のいくつかの一般的な質問にもスムーズな返事です。見学をしていた学生さん達にも評価をして貰いましたが、「ちょっと早口だけど、面接者の質問にスラスラ答えていた。」ということで概ね、良い評価でした。
ところが、面接者側の評価は芳しくなく不合格でした。面接者の視点は、「話し方は自然体で良いが、内容は用意してきたものを一方的に話しているだけで、会話が成立していない。」というもの。学生側としては、質問に対して必要十分な回答をしていたと思っていたのに対し、面接者の視点はその内容をベースに会話がはずむかどうかにあったようです。つまり、以前にも触れたとおり、学生はしっかり「解答」はできたのですが、面接者の期待する「回答」にはなっていなかったようです。
面接者から見て、学生を早期の段階で不合格にする場合は、基本的なスキルができていないか、今回のケースのように、コミュニケーションが成立していないかのいずれかです。準備をしっかりしている真面目な学生さんほど、この悩みを持つことが多いようで、特に今は数多くの企業を受ける時代ですから、知らないうちに回答が型にはまってしまって「死んだ会話」になっていることがあります。面接者は、志望動機を経て行われる質疑応答をしたくてうずうずしているもので、「生きの良い回答」を楽しみにしています。それこそがコミュニケーション能力を見るということなのでしょう。