今春からの企業の採用活動における動向がまとまってきました。これから数回に分けて今シーズンに顕著だった傾向についてお伝えしていきたいと思います。
まず目立ったのは、今年の就職活動では女子学生が頑張っておりました。企業人事部によっては「今年は女子の方が優秀だ。」という言い方をされるところも多いですが、ダイヤモンド・ビッグ社の調査(男子重複内定社数:2.53社、女子重複内定者数:3.34)でも明らかになったとおり、男子学生を大きく上回る内定数を得ています。
Professional Recruiters Clubのメンバーの声を聞いても、「年々、女子の方が優秀なり、総合職の枠を変えた。」「女性ばかり採用するわけにはいかないので困った。」という声を聞きます。春先に私の方で何回か就職活動中の学生を対象にディスカッションを行いましたが、その中でも積極的な発言を行ったり、質問して食いついてくる女子学生が目立ちました。
女子学生が優秀かどうかはさておき、私が感心したのはその積極性と行動力です。男子学生に比べて、「一人で行動する力」が強いように見えます。インターンシップも積極的に探し、ドンドン自分で意志決定し、失敗しても立ち直りが速い。米国のドラマのキャリア・ウーマン(という言い方も古いですが)が、仕事と恋人との選択で悩みながらも迷わず仕事を選ぶシーンを彷彿とさせます。
来るべき少子高齢化時代、女性と中高年者の活躍が期待されていますが、10年先を見るとまさに今、元気な女性を採用することが、企業の基盤を支えることになるのではないでしょうか。10年後、優秀な女性社員に外資系企業へ転職されないような企業つくりをしなければならないと思います。
採用担当者の新しい夏の仕事に、3年生向けのインターンシップの準備・実施があります。インターンシップは、厚生労働省やマスコミ等では持てはやされている感がありますが、ワークシェアリングの時と同様、その捉え方は企業人事部によって温度差があり、採用のための手段としている場合もあれば、採用手法としてはメリットがないと考えて導入に否定的なところもあります。
一方で、学生はインターンシップを採用応募のひとつとしてステレオ的に判断しがちです。インターンシップを行っていない企業は遅れている、インターンシップの選考に漏れたらその企業の採用選考を受けても通らない、という声をよく聞きますが、上記のとおり、インターンシップは企業によってまだ模索中のプログラムであり、今後ますます多様化していくことでしょう。
またインターンシップ経験者から、プログラムの内容や現場の受け入れ体制が十分ではない、という感想を聞くことがあります。しかし、実際に仕事をする際に環境が十分に整っていることなどあり得ません。与えられた環境の中で、如何にベストをつくすか、またはその環境を変える努力をするか、ということを学ぶのが就業経験の本質でしょう。大学の机上の学問では学べないことです。言い換えれば、社会の不合理(現実)に接する機会なのです。
かつてインターンシップという言葉を日本に初めて導入された、法政大学清成総長はこれを就職活動という視野の狭い概念ではなく、大学指導では困難な就業体験教育として紹介されました。現在のブームは本来の教育という概念からはずれつつあるのかもしれませんが、こういった機会を学生も企業も模索しながら、積極的な学生が増え、良いプログラムが増えていくことを期待しています。
Just another Recruiting way